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メンターあるいは父元型について

臨床活動を根底で支える「メンター(精神的指導者)」と呼ばれる精神的支柱となるイメージがあります。それはユング心理学では父元型と近似の概念と思われます。個人的には大学・大学院当時のそれぞれの指導教官、最初の職場である精神病院の上司、教育分析の師匠、そして父の五人が該当します。既に鬼籍に入った人も多く、直接の関係が希薄になった人も多くなりました。私自身が生きていく上で距離を取る必要を覚えて、そうなりました。中には当初、かかわっていた時のイメージから大きく外れていった人もいます。

臨床道を極める上で、内なる対話を続ける相手として、これらメンターの投影を受ける役割として彼らは機能しており、現実の(あるいは生きていた当時の)その人たちのイメージとは異なり、私の内的世界で彼らは独自に変容を遂げます。現実には疎遠となった人が夢の中で、背中に受けた大きな傷をそれこそ丁寧になめながら私を癒やし、瀕死の私を蘇生してくれました。あるいは最後は二度童子(老人性痴呆)となり、私に救いを求める目をしていた情けない姿を露呈した父が、私が生涯で最大の危機を迎えたときに夢に現れ、モーゼのように雄々しく山頂に私を導き、指針を提示する姿として、私の魂に直接、呼びかけてきました。

心理療法の奥義として、こうしたヌミノース=聖なる次元の体験が私を臨床家として機能するように導いており、私は静かにそれと向き合うことを日常としています。日常の臨床場面でも、日々、こうした現象と向き合い続けていますが、それらはその内実を正確に伝えることが困難なほどに魅惑的であり、臨床の醍醐味です。私はその本質を次の世代に口伝で伝える天命を背負っていると自負しており、それに挺身したいと思っています。

副理事長 江口 昇勇

夏のワークのアンケート結果から感じたこと

愛知カウンセリング協会事務局

27年度のワークショップには、全部で39名の方が参加してくださいました。毎年参加してくださる方もあり、久しぶりの参加の方や、初めての参加の方もありました。こうした皆さんの想いに支えられて、今年もワークショップを実施できたことが、何よりもうれしいし、感謝の気持ちでいっぱいです。

皆さんが、自分なりの課題や目的、願いを持って参加してくださったことが、文章を読むと伝わってきます。その想いにお答えできたかどうかを常に確かめながら、これからもワークショップを企画していきたいと思っています。

次に、具体的な項目について、感じたことをお伝えします。

  1. 最後の全体会については、やった方がいいと感じた方と、やらない方がいいと感じた方の二つにはっきりと分かれました。それぞれの想いが伝わってきました。来年度どうするかについては、3月の理事会でよく話し合って決めたいと思っています。どちらになっても、ご協力くださいますようお願いいたします。
  2. 各グループでは、さまざまな動きが生まれました。縁あって出会うことができたメンバーと、世話人が一緒になって、その時、その場でしか味わえない体験を創り上げていくことが出来たのではないかと思いました。
  3. 自主研修については、プラザホテルの都合で、今年初めてロビーで実施しました。不便に感じたり、違和感を持ったりした方もありましたが、来年も同じ場所になると思います。楽しく交流できる場所になるように、一緒に工夫していきましょう。
  4. 事務局の活動については、行き届かないところもあったと思いますが、一つ一つ改善していきたいと思っています。遠慮なくご要望をお伝えください。なお、ワークショップの参加費ですが、赤字にならないようにするために、現状が精いっぱいの金額です。ご協力をお願いします。
  5. プラザホテルの施設や食事等についてのご要望は、関係の方にきちんとお伝えして、来年のワークショップで生かしてもらえるようにしたいと思っています。

最後に、参加された皆さんが考えたことや感じたことを、丁寧にアンケートに書いてくださったことに対して、心から感謝をいたします。

来年のワークショップでも、また、お会いできるとうれしいです。

投稿日: 2015年11月29日 カテゴリー: ブログ

今年のワークショップを終えて

三泊四日のワーク「時間が経つのがとても早かった」という感想です。{ドリームワークとイメージ体験}という取っ掛かりにくいテーマのため毎年、参加者は限定的で、とても贅沢な時間を与えてもらっています。今年は参加メンバーの中にたまたま鍼灸師とYOGA講師の方々が加わっていただきましたので、セッション中でその知見や実践を随時、導入してもらいました。そのお陰で辛気臭くなる<夢や自分史を振り返っての自己探求>の間々でリラックスし、身体の声を尋ねながらの展開となりました。私自身思ってもみなかった新しい流れを通過、ワークショップはもっと自由自在に展開して良いのだという確信を得ました。

インナートリップ(内的旅)を自在に飛行するためには自由なこころと身体の動きがあって初めてこころや魂が自由になり、そこからイメージが湧出するものだと感じました。刺激を求めて戸外に出る、あるいは描画法や小説・詩・写真等を媒介としたセッションを導入することも試行したいなと思いました。昔、京都で「ファンタジーグループ」を体験しました、そこでは内なるイメージを拡充することを目指していたように思います。こころや魂が活き活きと動き出す、その瞬間、瞬間を共有することで響き合うものがあることを改めて実感した今年のワークです。